▲いや、大仰な表題となってしまった。
当然、東京・大阪などの大都市では生き残るだろう。1店舗とか数店舗。
でも、それだけではないのかな。
百貨店って、おそらく発展途上国のみに通用する店舗形態なのだろう。
国がテイクオフして、数十年のみ繁栄するという---。
これから、収益をどう確保しますか---という問いに対する百貨店の社長さんの回答をみて、「百貨店は、本当に生き残ることができるのかな」と疑問をもった。
以下、新聞から抜粋。
三越伊勢丹ホールディングスの杉江社長は、2018年をめどに人事制度を見直し、人件費の削減を進めると明らかに。
コスト低減による百貨店事業の立て直しを進め、不動産や電子商取引 (EC)を新たな収益の柱に育てる。
大西前社長が社内の混乱を招いた責任を取って辞任し、社長に就任。
「前体制では従業員や労働組合との対話が不足していた。就任後、60時間以上かけて店舗の幹部社員らと課題認識について協議した。
組合とも週に1度、意見交換する場を設け、コスト削減や店舗改革の重要性を理解してもらっている」
――人件費の高止まりが課題になっています。
「売上咼に対する人件費率は12%超と業界内でも相当高い。約5千人の従業員のうち管理職が半数近くを占め、いびつな体制になっている。前年比1~2%の減収が続くなかで、抜本的な構造改革に着手できていなかった。17年度、18年度は身を縮め、コスト削減と事業の立て直しに集中する」
「労働組合と人事制度を見直す協議を始めた。硬直化した職務階級を細分化し、昇格制度の見直しなどで従業員のやる気を高める仕組みを18年度にもつくる。賃下げや人員リストラは行わないが、早期退職金の増額による自然減と採用の抑制で人件費率を10%以下に抑えたい」
百貨店事業をどう立て直しますか。
日本橋、銀座、新宿の基幹3店舗は訪日客や再開発で増えた若い女性客の取り込みを意識するあまり、コンセプトと品ぞろえがぶれていた。日本橋本店は富裕層向けの品ぞろえとサービスを徹底するなど、店舗の特徴を明確にする」
「採算が悪化している地方店舗は、売り場縮小など抜本的な改革を進める。デパ地下から最上階のレストランまでそろえた百貨店モデルが成立するのは大都市圈だけだ。
店によっては『ユニクロ』や『ニトリ』など有力テナントの誘致も検討。
2月と8月に導入した店舗休業日については、お客さまや現場の意見を踏まえつつ、営業を再開する方向で協議している」
―百貨店の売り上げが伸び悩むなか、収益をどう確保しますか。
「ひとつは不動産事業だ。新宿の『伊勢丹会館』や『駐車場ビル』など優良な不動産を多数保有しているが、ほとんど収益に寄与していない。商業ビルやオフィスビルに開発し直し、安定して収益を生み出す事業に育てる。遅れていたEC事業にも本格的に取り組む。
在は店で売る商品をネツトに掲載しているだけだが、約3千社の主要取引先と協力し、中低価格帯も含めた総合的な通販のプラットフォームをつくる」
▲補足、感想など
百貨店業界って、恵まれた業界だったのだろうな。
でも、と思う。
アマゾン等とどう違うのか—差別化ができまい。
早い話、業態がなくなってしまう—ということであろう。
こんな姿どこかで見たことがある。
銀塩カメラというものがなくなる寸前の富士フイルムのような----。
本業であるフイルムというものが、必要とされなくなる---という時、その恐怖の中で富士フイルムはどう考え・どう行動したのだろうか。
どうも、百貨店業界の人をみていると、富士フイルムのような「切実感・切迫感」がない。
「追い詰められ感」が乏しい。
だから、「もうすぐ業界自体がなくなる」という感覚でものごとを処置していない。
上の富士フイルムの例をひけば、同じ銀塩カメラのフィルムメーカーとして、ドイツにアグファ、アメリカにコダックという会社があった。
いずれも、フィルムという商品がなくなるという状況を知っていながら、うまく適応できず、次々に倒産していった。
上の三越伊勢丹という会社の対応は、このアグファ、コダックとそっくりだ。
いずれも、フィルムという商品がなくなるという状況を知っていながら、うまく適応できず、次々に倒産していった。
上の三越伊勢丹という会社の対応は、このアグファ、コダックとそっくりだ。
ec業界って、それこそ乱戦状態にあるのだ。そんなところで、新規参入して簡単に勝ち残れるものか。
それこそ、新規にとんかつ屋を始めるとか、漢方薬を製造しようとか、ミャンマーあたりに進出するとか---の思い切った方向転換をせずには百貨店業界は生き残れまい。