2013年3月4日月曜日

プーチン大統領の腹づもり。


大前研一さんが、北方領土問題解決についてコメントしているのだが、どうもなぁと筆者など思う。
 この北方領土問題の解決の方向性は、過去のことをしっているかどうか—というところにあるのではない。

 現在時点で、ロシアと日本の間で、ウイン-ウイン関係となるような、そんな折り合う点が見つかるかどうか—ということだ。
 二島がどうしたの4島がどうしたの、面積按分がどうした—という話は本質的ではない。

 第一、プーチン大統領から最初に投げかけられた話でもそうではなかったではないか。
 プーチン大統領は、日本の首相が安倍さんだからこそ、今、一緒に仕事ができる—と感じているのだ。
 トータルで、ロシア人にとって北方領土を返還しても納得するという—そんな場所をみつければいいことではないか。

 どうも、大前さんの話は、「オレだけが知っているだそ」的なニュアンスが強すぎる。
 それは、必ずしも適切な解決への方向を示しているものではあるまい。

 以下、新聞から抜粋。

 安倍首相の特使としてロシアを訪問した森喜朗元首相はプーチン大統領とモスクワの クレムリンで会談した。
 プーチン氏は昨年3月、「北方領土問題は引き分けによる最終決着」と語ったこと について、「双方が受け入れ可能な解決策のこと」と説明した。
 また、「日露間に平和条約がないのは異常 な事態」と指摘し、平和条約締結の前提となる領土問題の解決に意欲を示した。

 今回、2人は突っ込んだ話し合いをしたようだ。
 領土問題を真ん中に 戻そう、という話し合いだったようだ。

 私はプーチン氏の言う「双方受け入れ可能な解決策」とは、「面積等分」のことだと思う。
 これは 2006年の麻生太郎外相の私案で、北方四島全体の面積を2等分する境界線を日露両国の 国境とするものだ。
 私自身は、日本の外務省の「四島一括返還をしない限り、平和条約は結ばない」という考え方は違うと 思う。
 もともと日本は歯舞、色丹の2島返還でソ連と妥結しようとしていた。

 それが1956年8月、 ダレス国務長官が重光葵外相に対し、「沖縄を返還する代わりに、ソ連にも 四島一括返還を要求しろ」と恫喝し、日本は「四島一括返還以外はあり得ない」と主張した。

 しかし、もう沖縄は返してもらったのだから、今は何を言っても自由だと思う。
 だいたい、スターリンが固執した北海道分割案に対して、「それはカンベンして。代わりに北方四島を持っていけ」 とソ連に言ったのは米国のルーズベルトとトルーマンだ。
 そういうふうに歴史の事実を、きちんと国民に説明するべきだ。

 私は「日本人は みんな勘違いしているから、この問題については仕切り直したほうがいい」と森氏にも言ったし、 前原誠司政調会長がラブロフ外相と交渉する際にもその証拠資料を渡した。
 「真ん中に戻す」というのは、ロンドンのダレス・重光会談の前に戻して考えるということ。
 ロシアは中国ともめていた大ウスリー島も、ノルウェーともめていた北極海も、面積等分で決着している。

 面積等分はプーチン大統領の領土紛争に関する「伝家の宝刀」といってもいい解決策なのだ。

 プーチン氏と森氏の会談では、ロシアの天然ガス開発なども議題になったが、電力輸入に向けた動きもある。
 ソフトバンクと三井物産、そしてロシアの政府系電力大手インテルRAOの3社は、ロシアで発電した 電力を日本に輸入する構想を明らかにした。

 3社は日露間の送電網の構築に向けて事業化調査を実施し、 16年以降の輸入を目指す方針だ。

 これは極東ロシアで水力発電をしてサハリン経由で輸入するものだが、私は別に、サハリンで 出たガスで発電し、その電力を直接高圧直流送電網で“輸入”するという案を主張している。
 この案の メリットは、すぐにできること。水力発電所を造るとなると大ごとになるが、ガスなら簡単だ。
 いずれにしろウラジオストクからのガスのパイプラインやサハリンからの電力輸入に向けた動きは、 日露の平和条約締結に向けた交渉も加速することになる。
 日本にとっては久々の薄明かりとなる予感がする。

▲補足、感想など
 冒頭でもふれたように、日露でウイン-ウイン関係となるような場所はないか—と探すということが大事であろう。
 ロシア人そのものは信頼するに値しないかもしれないが、プーチンさんはまぁ、信頼するに足る人であろう。

 だからこそ、日本も解決の方向性を探っているのだ。
 どのあたりに決着案があるのか--想像もできない。
 このあたりは、安倍さんの「判断」に任せるしかあるまい。

 大事なことは、安倍-プーチンの間でしか、この北方領土問題は解決しない—ということだ。
 そこを間違えないでおこう。