2017年6月14日水曜日

ひきこもり支援に悪徳ビジネス横行

悪徳ビジネスにひっかかるって---
 どこに核心があるのかなぁ。
 子供が「ひきこもった」時、どう対応していいのか、親が分からなくなる---ということだろうな。
 だから、悪徳ビジネスにひっかかるのだ。

 ひきこもりって、要するに自分に「自信のない人・ポテンシャルの低い人」なのだ。
 だから。
 核心さえ掴んでいれば、解決への方向性のようなものはおぼろげに見えるだろう。
 大事なことは。
 自分はこの世でなにかできると認められた人間だ—と感じればいいのだ、そう思えばいい。
 自分は、この世界でなにかできるはずだと堅く思えばいいことだ。

 「オレは、この世できっとなにかできる」と思わせるルートのようなものがあるのだろうな。

 まず、ひきこもりの社会への復帰することの難しさから。
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2016/10/21()

 内閣府が公表した調査結果によると、仕事や学校に行かず、6カ月以上家族以外とほとんど交流せずに 自宅にいる「ひきこもり」(1539歳)の人は、全国に約54万人いるとされる。
 外部との交流はあるがやはり仕事をしていない「ニート」を含めると、その数は確実に数倍になる。  もちろん、行政の側も状況を認識し、職業訓練や就業支援をはじめとしたサポート体制を整えている。
 しかし、何年も、10年以上も社会とかかわりを持たずに過ごしてきた人が、外に出て働くということは、やはり簡単ではない。

■「ひきこもり・ニートの99%は就労できない」が現場の常識
 公的機関のひきこもり相談員として、ひきこもりの自立支援に従事した経験を持つ伊藤さんは、支援現場の常識は「ひきこもり・ニートの99%は就労できない」だと。
 多くの人が想像する「ひきこもり・ニートからの脱出」とは、「正社員として就労し、いずれ経済的に自立する」というプロセスだろう。
 実際に国は、そのプロセスをモデルとして支援を行っている。

 しかし、仕事として多くのひきこもりやニートと接してきた伊藤さんが、こういうケースに出会ったのはわずか一度。
 就労する意欲があっても「正社員」のハードルは高い。
 非正規雇用では、継続的に自立した生活を送ることができるか心もとない。
 そして、そもそも働く意欲のない人も存在する。
 ひきこもり・ニートにとって「正規雇用から経済的自立」というプロセスはかくも困難なものなのだ。

--ここまで--
 かくも困難か--
 社会へ復帰するというのが、いかに細い道か分かる。
 その細い道として、例えば、農作業をするとか、ヨットに乗るとか色んな例が記事になっていた。
 それをいくつかご紹介したい。

 --ここから--
2010/10/01()
 引きこもりの原因は時代とともに変化しているという。

 「八〇年代の引きこもりはスチューデント・アパシー(大学生などに見られる無気力状態)が主な原因で、 ちょっとしたアドバイスで復帰できた。
 しかし九〇年代以降は、単位が取れなかったり就職に失敗したことがきっかけで 『自分は人生の落伍者』と思い込み引きこもる傾向にあります。

 最近の就職難も増加の原因のひとつと言えます」(三十年間引きこもりの若者に向き合ってきた和歌山大学保健管理センター・宮西照夫教授) 実際、家族が引きこもりになってしまった場合、必ず専門家に相談するべきと、宮西教授は言う。
 「引きこもりと言われる人のなかには統合失調症やうつ病を患っている方が少なからずいます。
 まず最初に専門家がそれを見極めなければ、治療が誤った方向に進んでしまうことになります。
 それも引きこもってから二〜三年以内に相談すること。
 それを過ぎると社会復帰がより困難になります」

 和歌山大学では、独自の『引きこもり回復支援プログラム』を行っている。
 「回復のためには、密室状態の家庭に第三者が入ることが必要。
 引きこもりの経験者から養成した『アミーゴ』というメンタルサポーターを、週に何回か自宅に派遣し一緒に遊ぶのです。
 引きこもる若者には、年寄りがいくら講釈しても効き目はありません。
 感性や興味が近い同世代の若者と本音をぶつけあう。
 そして徐々に食事などに連れ出し、家庭以外の新たな場所に 『居場所』を作ってあげるようにサポートしていくんです。

 ただし、一度外出できるようになったからといって『アミーゴ』の派遣をやめてしまうと、再び引きこもりに戻ってしまうこともあるので、 時間をかけて回復をはからなければなりません」
 同時に精神科医の治療も取り入れつつ行うこのプログラムでは、半年間で約九割が外出できるようになったという。 

2014/10/13(
 ひきこもり:農作業で回復を 地域活性化と組み合わせ
 過疎高齢化が進む中山間地域の活性化と、ひきこもりからの回復支援を組み 合わせた試みが、岡山県美作市で進んでいる。
 シェアハウ スに、ひきこもりから脱しようとする人が入居し、共同生活や農作業をするう ちに、人と自然に話したり、何かに挑んだりするなどの変化が表れた。
 他にも 似たケースがあり、地元若者グループは、支援NPO法人と連携して事業化。
 「地域おこしで人もおこそう」と取り組んでいる。

 グループは、同市梶並地区の民家でシェアハウスを運営する「山村エンター プライズ」。
 市が委嘱する「地域おこし協力隊」出身の藤井代表(27) らが地方に基盤を持たない人が移住しやすい環境を作ろうとシ ェアハウスを開いた。
 個室のほか、共有の居間や台所がある。狙いは若者の移 住と過疎高齢化が進む地区の活性化の両立で、耕作放棄地での農作業アルバイト収入などで生活を支える仕組みだ。

 当初、ひきこもりの回復支援は想定していなかった。だが、2年間のひきこ もり経験がある20歳代前半の男性が開設時に入居。
 農作業などで住民らと接するうちに会話が増え、気持ちが変化したという。1年後には演劇活動を始めた。
 その後、シェアハウスの様子がひきこもりの人の家族や支援者に口コミで広 まり、別のひきこもり経験者らも入居。
 グループは今春、ひきこもり回復支援 事業「人おこしプロジェクト」に発展させた。
 対象は、「未就労・未就学の状 態から抜け出したい」と希望する15~30歳の若者。
 週1回の日帰り体験や、 長期入居などを想定する。
 共有スペースで他の住人と少しずつ関わりながら 農作業アルバイトに出掛ける。

--ここまで--

 なんとなく、社会復帰への細い道のようなものが見える。
 この例示を踏まえて、表題のひきこもり支援を称する悪徳ビジネスを見てみよう。

 以下、表題でふれた件で、新聞から抜粋。

 ひきこもり支援、親から1000万円騙し取り監禁&暴力が多発…悪徳ビジネスが蔓延
2017/06/13()

 ひきこもりの自立支援をうたうビジネスでトラブルが続出している。
 5月には、『クローズアップ現代+』で「トラブル続出 ひきこもり“自立支援”ビジネス」という特集が放送。
 そこでは、ひきこもりの人々を支援する施設で監禁や暴力などのトラブルが頻発し、さらに高額な契約料を要求されるという実態が伝えられた。
 ある20代女性(Aさん)は、そうした業者の被害に遭い、親は契約金として約570万円を支払った。
 今、損害賠償を求める訴えを起こしているが、その代理人を務めているのが弁護士の望月氏だ。
 第1回口頭弁論を踏まえて、ひきこもりの自立支援ビジネスをめぐる被害の実態や業者の手法について、望月氏に話を聞いた。

●鍵を壊して拉致、施設に監禁して暴力も

――「ひきこもりの自立支援」をうたいつつ、実態は悪質なビジネスを行う業者の存在が明るみに出ています。その業者に対して、母親が提訴した。概要から、教えてください。

 望月氏(以下、望月):Aさんは、もともとひきこもりではありません。
 たまたま母親と親子ゲンカをして、Aさんが母親に手を上げました。
 そこで、母親が親子関係の改善を望み、インターネットで見つけた業者に相談しました。
 業者に「それはすぐに解決しなければなりません」と言われ、業者の事務所に出向くと、母親は「お子さんの未来のためです」と説得を受けて、約570万円を支払うことになりました。お金は、翌日には支払っています。

 そして、業者はAさんが住むマンションに押しかけ、内鍵を壊し、千葉県内の施設と称するアパートに拉致同然で連れて行った上、そこでは暴力も行われていました。
 Aさんは、施設から逃げて警察に相談しましたが、警察は施設側の「この人は精神疾患がある。脱走した入居者で虚言癖や自傷癖がある」という言葉を鵜呑みにして、調書を取ることもなく、Aさんはそのまま施設に返されました。

 結局、Aさんは3カ月も軟禁される状態が続きました。
 訴訟において、拉致、監禁、暴力について、一つひとつ立証することは大変難しいです。
 ビデオカメラが設置されていたわけではないため、その具体的な状況を誰も記録できていないわけです。
 そして、業者は「そのようなことはやっていない」と反論するでしょう。
 私たちがそれを証明するには、かなり高いハードルを越えなければなりません。
 そのため、支払った約570万円にふさわしいカリキュラムや支援が受けられていたのかについて追及します。
 債務不履行として約570万円の返還と、Aさんが3カ月以上も軟禁同然の生活を強いられていたことの肉体的・精神的な苦痛に対しての慰謝料を求めていきます。

――望月さんは、このような業者を「引き出し業者」と呼んでいます。全国にどれくらい存在するのでしょうか。

望月:データが存在しないため、明らかになっているわけではありません。しかし、いくつかの業者名はわかっており、一定数存在しています。
 今回の事案は、元警察官が業者の運営に携わっており、表向きは警察や行政と連携しているた支援団体であることをPRしています。
 しかし、黒幕は設立した2人で、もともと引き出し業者に勤めており、独立して新たな引き出し業者を設立したという経緯だと聞いています。
 こうしたビジネスは、思いつきでできるものではありません。
 一般論として、私は、反社会的勢力のネットワークを感じています。
 表面上はクリーンな人間を代表にして、実権は反社会的勢力が握るという例もあるようです。
 拉致についても手慣れています。一連の流れは、マニュアルがなければできないでしょう。

●なぜ親は業者に頼る?1000万円払うケースも
――ひきこもりの問題は、なぜ放置されているのでしょうか。
望月:ひきこもりの問題は、医療と福祉のはざまで起きています。
 医療の対象にも福祉の対象にもならないからこそ、法律で報酬が定められておらず、このような業者が多額の報酬を請求する状況になっているわけです。
 要は、監督する行政が存在しないのです。暴力の問題であれば警察ですが、親御さんや本人の同意書もあり、暴力行為を証明すること自体も難しい。
 詐欺として立件することも困難で、警察も介入しづらい問題です。
 ひきこもり自体は思春期に発生することが多く、「登校拒否」「不登校」、そして「ひきこもり」という言葉に変わっていった経緯があります。
 長期化することも多く、今は3040代のひきこもりも多く存在するなど高齢化しています。
 ひきこもりの問題は福祉の領域であり、制度を整備して国が税金を使って支援する態勢を整えるべきです。
 ひきこもりの問題は厚生労働省が管轄して、支援のあり方についてガイドラインを普及させた上で、業者を指導していくことが望ましいでしょう。
 親御さんが元気なうちはひきこもりの方を養うことができますが、親御さんに何かあれば、生活保護受給者になる可能性もあります。
 ひきこもりの方が社会で働くことは生活保護受給者の減少にもつながり、社会全体の向上にも寄与するため、ひきこもり支援は十分な合理性があると考えます。

――ある時期、引き出し業者を礼賛するテレビ番組すらありました。どうお考えですか。
望月:日本は家族主義が強すぎて「家族のために個人が犠牲になるのは仕方ない」という発想と親和性が高い。
 特に日本人は根性モノやスパルタ教育が好きだと感じます。
 劇的な方法で人間が大きく成長するというストーリーを好む傾向にあります。

 実は、親御さんもお子さんがひきこもったらどうしたらいいかわからない。解答を持っていないのです。そのため、藁にもすがる思いで「業者なら答えを持っているのでは」と考えて頼るケースがあります。

 さらに、親御さんはお金で解決することで一種の贖罪をしたいという気持ちもあるでしょう。
 今回は約570万円ですが、なかには1000万円以上を支払ったケースもあります。
 
●ひきこもりの社会復帰に必要なこととは
――ひきこもりの方の社会復帰という問題は、根性論では解決しないということですね。
望月:ひきこもりの方を社会復帰させるには、ドラスティックな手法ではなく、長い時間をかけて地道に信頼関係を構築することが大切です。そして、自発的に「外に出よう」という気持ちに持っていくという流れが王道です。
 ひきこもりの方の多くは、働こうと思えば働けます。しかし、今の社会では生きづらさを感じているのです。

――最後になりますが、勝訴の可能性は。
望月:十分にあると考えています。
 Aさんの事案では、業者に約570万円を支払っていますが、その金額に見合う支援が行われていたかどうかを徹底的に追及します。
 業者は、「支援について受け止める期間」「規則正しい生活を送る期間」「社会人として自立して働く期間」に分けて自立支援を行っていると主張、それは業者側が証明しなければなりません。
 こちらとしては「生活改善として、いったいどのような支援を行いましたか」というふうに追及することで、勝訴を勝ち取るつもりです。

補足、感想など

 冒頭でふれた。
 オレでもこの世界で生きる価値があるのだ—と自分自身が信じることができるかどうか--だけだと感じる。

 そう思えば、それから先はなんでもできる。
 例示した農作業でも、筆者のようにブログを書くこともできよう。
 徐々に、社会に関与していけばいい。できることからすればいいではないか。
 
 最後に戸塚さんのことも紹介しておきたい。

 --ここから--

2016.07.16
 体罰は「絶対悪」の時代である。しかし、戸塚ヨットスクール校長で、過去の指導中に生徒が死亡したことで非難を浴びた戸塚宏氏は、今でも体罰肯定論者である。
 その真意はどこにあるのか。中村計氏が訊いた。

 今も、戸塚ヨットスクールは存在している。今はわずか8人だ。
 昔は中学生が中心だったが、今はいちばん下が高校生で、いちばん上は40歳代である。
 「50歳過ぎてから親に連れてこられるやつもいるよ。マスコミのせいよ。戸塚ヨットスクールに入れるような親は鬼だっていう書き方をするでしょう。
 だから、精神科やらフリースクールに行って、でも何ともならなくて、最後の手段としてうちにくる。その頃には、40歳とか50歳になってる」

 5年前から、3歳から12歳までの幼児を対象に一週間前後の合宿「戸塚ジュニアヨットスクール」をほぼ毎月、開催するようになった。
 「結局、教育は幼児からやらんと手遅れなんだということがようわかった。幼児のときにきっちりやれば、あとは自分で自分を伸ばすことができる」

──著書には、体罰は肯定しているけど、事件後は封印した、とありました。
 「封印なんかしてないよ。違法じゃないんやから。そんな法律はない。体罰禁止は学校教育法の中にあるだけで、民法の中にはない。
 体罰を使った方が、この子たちはうまくなるということを知っとったもんで、うちは学校法人にせず株式会社にしたんや。でも、そうしたらマスコミは株式会社が教育をやるのはけしからんと言う」

──著書には、もう手は出していないと書かれていましたが。
 「してない、と言っとかないと」

──今回の記事で、今の発言を書いてもいいんですか。
 「いいですよ」

──子どもを預けに来た親には体罰を行うこともありますと言う?
 「親に対しては一切口を出すなって言う。うちの教育者たちはプロ中のプロやぞいう自負がありますから。
 うちのスタッフに比べたら、ほかの教育者なんてみんな素人よ。親は口を出さない。これが条件。口を出すんだったら、最初から預からない」

 戸塚も「捨てる方が冷たい」と言う。戸塚ヨットスクールは原則的に、精神疾患者、知的障害者、自閉症の子以外にはすべて門戸を開いている。
 ただし、戸塚は今の時代に精神疾患と診断された子どもの8割が誤診だと言い切る。
 「学校が手に負えんやつに、みんな病名を与える。発達障害の子どもって、ものすごく増えてるじゃない。あんなのインチキや。そう言えば学校の責任じゃなくなるからでしょ。昔から、自分の子どもを精神疾患だと言われ、納得できない親がうちに連れてくることがよくあった。やってみると、10人中8人は治る。昔はそういう子どもを発達障害なんて言わんやって」

 教育現場では「個性」が尊重される時代だという。
 「ニートまで個性だなんて言い出すから、日本の教育がおかしくなった。中学生の女の子が売春して、私の権利でしょと言う。おかしいよね。悪いことをしたら引っぱたかれる。それがトラウマとなって悪いことをしなくなる。これが人間のあり方よ」

 ただ、戸塚の意見を暴論だと簡単に捨てることができないのも正直な感想である。
 万能薬が存在しないように、ありとあらゆる子どもに通用する教育論などありはしない。
 そして効く薬に害があるように、効果的な教育には負の側面もあるのだろう。
 ごく少数だが、「体罰」というコミュニケーションが必要な子どももいるのかもしれない。

 体罰を容認するかしないは別として、教育を考えるとき「体罰=悪」と何でもかんでも一緒くたにするのではなく、そう思いを巡らせることができる小さなスペースぐらいは残して置いてもいいのではないか。

 --ここまで--

 冒頭でもふれた。
 ひきこもりを社会復帰させるというのは、細い細い道なのだ。
 筆者は、戸塚さんの意見に賛成だ。
 海に投げ出されて、生きたい、死にたくない---という根源的な欲求ほど、オレでもこの世に生きる価値があるのだ--という感覚に直結したものはない--と思うからだ。