▲表題は、ちょいとなぁ。
もしかして、ホラ話かもしれないな。
先日、アルファ碁というソフトで、世界最強の棋士に三連勝して、もはや人間の脳では機械に太刀打ちできない—と諦めさせた男のインタビュー記事があった。
まず、その記事を抜粋。
米グーグルの人工知能(AI) 「アルファ碁」が世界最強の棋士、中国の柯潔(か・けつ)九段との三番勝負で全勝。
生みの親で同社グループのAIベンチャー、英ディープマインドの最高経営責任者(CEO)、デミス・ハサビス氏(40)は取材に応じ、AI研究の進捗について「正しいはしごを登り始めた」と手応えを示した。
「このはしごはとても高く。何段あるかわからない。ただ。 Aiの歴史は誤ったはしごに登っては下りるの繰り返しだった。 『正しいはしご』にたどり着いたのは、大きい」。
ハサビス氏が「正しいはしご」と呼ぶのは、人間の脳をまねた情報処理手法として近年注目される「深層学習」というAIの研究分野だ。
神経科学者でもあるハサビス氏が2010年に創業したディープマインドは研究で世界の先頭を走る。
深層学習に「強化学習」と呼ばれるもう一つの情報処理手法を組み合わせることで、AIの自己学習能力を飛躍的に向上させた。
「知性の解明という意味では、まだ一段目を登ったにすぎない」としながらも、知能ゲームで最難関とされた囲碁で証明した実力に自信を深める。
1976年に生まれたハサビス氏は、4歳でチェスを始め、10代初めには年代別の世界ランキングで2位になった。チェスの「神童」に転機が訪れたのは、11歳のとき。
国際大会で年上の対戦柏手にゲーム内容を激しくなじられるという経験が、チェス以外の世界に目を向けるきっかけとなったという。
自分は与えられた能力をムダにしているのではないか。
ここに集まっだ頭の良い人々が同じ時間とエネルギーをもっと世の中の役に立つことに使った方がいいのではないか--。
その後のAI研究の道へとつながる 「まさに天の啓示だった」と振り返る。
「あらゆる企業が『A1
を使っている』と吹聴するが、9割はその意味を理解せず、マーケティング用語として使っている。まさにAiバブルだ」
「アルファ碁」の勝利は世間のAIに対する関心を一段と高めたが、手放しでは喜べないという。
AIは70年代と90年代の2度、「冬」を経験している。
いずれも期待先行で成果が伴わず失望を買ったためだ。
過剰な期待は修正されるとみるが、一方で「『正しいはしご』を登り始めた今回は過去のような『冬』は来ない」と予言する。
米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスクCEOら起業家や投資家から出資を受け設立したディープマインドが「研究を加速するため」に潤沢な資金を持つグーグルの傘下に入ったのは14年。
今やグループのAI開発の中核を担う役割を考えれば推定5億ドル(約550億円)の買収額は安いぐらいだろう。
エリック・シュミット会長は「現代の英国のサクセスストーリーの一つ」とハサビス氏らの功績を高く評価する。
ディープマインドの社員は約500人でその半数を研究者が占める。
一つの組織が抱える深層学習の研究者の数としては世界最大だ。
ハサビス氏は知性の解明という難題を、人類を月面に送る挑戦になぞらえて「AI版アポロ計画」と呼ぶ。
「脳の働きは非常に複雑だがコンピューターで再現できないものはないというのが我々の現時点の見方だ」
記憶、想像力、概念、言語-―。AIはこれらの能力を全て獲得できると考える。
目指すのは「アルファ碁」のような用途を限定したAIでなく、様々な課題をこなせる汎用AI「AGI(Artificial General Intelligence)」。
囲碁では人間との「対決」に関心が集まったが、AIはあくまで人間の役に立つ「道具」だと説く。
ハッブル宇宙望遠鏡のおかげで、天文学者が地上からでは難しい高い精度の天体観測をできるようになったように、気候変動の問題に取り組む科学者や難病の治療法を探る医者がAIの助けを得ることで問題をより早く解決できるようになる。
「これこそが人間とAIの協調のあるべき姿だ」と力説する。
与えられた目的と枠組みの範囲内とはいえ自ら学習し、行動するAIには「暴走」の懸念がつきまとう。
人間の脳の動きは 「機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)」を使って視覚化できるが、「バーチャルな脳」になりつつあるAIにもこうした装置が必要だと指摘。
10年以内に開発し、意思決定のプロセスが人間から見えない「ブラックボックス」化を防ぐ意向を示した。
▲補足、感想など
--記憶、想像力、概念、言語-―。AIはこれらの能力を全て獲得できると考える。--か。
本当だろうか。
人口知能は、思った以上に早く、人間の仕事を奪うかもしれない—という記事を転記したい。
--ここから--
2017/06/01(木)
トランプ政権下のスティーヴン・マヌーチン米財務長官は、人工知能(AI)が職を奪うのは「50~100年先の話」だと語った。
しかし、専門家はより大きな危機感をもっている。
「もっと早くAIが人間の仕事を奪う可能性がある」と見通す予測の内容と、いま「機械との競争」について本当に考えなければならないこととは。
「人工知能(AI)が職を奪うという意見がありますが、現状はそこからかけ離れており、わたしのレーダーには映ってさえいません。50~100年先の話だと思います」。
2017年3月24日、スティーヴン・マヌーチン米財務長官は聴衆にこう語った。
よかった!一安心だ! トランプ米大統領も、今後数年で自律走行トラックが何千万人もの運転手にとって代わることはないと確信しつつ、大型トラックに乗り込むことができそうだ──。
だが、マヌーチン財務長官は間違っている。
それも「超」がつくほど大きな見当違いをしている。
AIは、人々の職を奪うだけでない。AIが奪おうとしているのは、古いタイプのオートメーションによってすでに多くが奪われたあとに残った、数少ない貴重な仕事でもあるのだ。
技術者や経済学者はこれを知っている。
ロボットやコンピューターのせいで失業した人も知っている。
知らないのは、ホワイトハウスにいる人々だけである。
赤いランプはすでに点灯している
ビジネスとテクノロジーの変化に関する専門家で、マサチューセッツ工科大学「Initiative
on the Digital Economy」の共同創設者であるアンドリュー・マカフィーはこう語る。
「マヌーチン財務長官の発言は、今後50~100年の間にコンピューターが経済に何ら影響を及ぼさないと言っているのに等しい。業界でそんなことを信じている人に、わたしは会ったことがありません」
マカフィーは2017年3月、チャールズ川を見下ろすMITの一室に、AI・オートメーションと雇用に関する専門家140人を集めた会議を開催した。
そして参加者に対して、マヌーチン財務長官が問われたのと同じ質問をした。
「すべての仕事をロボットが行うようになるのはいつか?」という質問だ。別の言い方にすれば、「どれくらいの危機感をもっているか?」という問いになる。
専門家たちのレーダーには、危険を知らせる赤いランプがすでに点灯している。
この会議には、エンジニアや科学者のほかに、トヨタやIBMのような企業の代表者、2016年の選挙でワシントンから追い出された政治家らが参加していた。
彼らは、2032年までに道路を走るトラックの半分は人間の運転手を必要としなくなるだろう、という結論を出した。
現在のトラック業界の規模で考えると、オートメーションへの移行により、今後15年のうちに175万人が職を失う計算になる。
しかも、これはひとつの業種に過ぎない。会場内には、オートメーションは近いうちに、医療記録を分析する仕事で人間に代わるようになるという意見もあった。
専門家たちは、2026年までには、そうした仕事のほとんどを機械が行うようになると見積もっている。
さらに、2036年までにロボットがほとんどの外科手術を行うようになると予測する専門家は半分近くに上った。
また、2028年には航空管制業務の95パーセントはロボットが処理するだろう。
2036年には米国内にある工場のほとんどは20人以下の作業員で稼動するようになる。
2034年までには、「Fortune
500」の企業で経営業務を担当するのは、人間よりロボットのほうが多くなるという。
--ここまで--
思っている以上に早く---という指摘はたぶん正しいだろうなぁ。
上の記事は、「既存の仕事が奪われる」という視点から書かれている。
トラックの運転手なんかはそうだろう。
でも。
仕事がなくなるのではあるまい。
仕事の中身が変化していくのだ。
人口知能でやる部分はそうだろう。
でも、それ以外の仕事がなにかできてくる。
そうだな。例えば、自動改札機なんてそうだろう。
人間が不要となれば、改札機の改良、保守点検の仕事に変わっていくのだ。
いずれにせよ。
技術的な進歩を拒否することはできまい。
その進歩というものを人間は、賢くとりいれるしかあるまい。