2017年6月2日金曜日

中国、人民元を元安 →元高 へムリヤリ

もうすぐあるアメリカの利上げに対抗するためだが。
 図をみていて、その急カーブさに驚く。
 中国から資金が逃げ出していて、元安が続いていたのだが、これだけ上げるって、外貨準備高が減ったということ?

 以下、新聞から抜粋。

 米国の追加利上げを控え、中国が人民元安の阻止に全力を挙げる。
 取引の基準となる「基準値」の見直しに加え、香港市場で元の流動性を絞った結果、1日はドルに対し7ヵ月ぶりの高値をつけた。
 2015年夏から続く元安にブレーキをかけたが、市場を軽視する手立てに投資家の視線は冷ややかなまま。

 1日の上海外国為替市場で元は4日続伸し、午後4時30分時点で1ドル=6・8061元。
 外国銀行のディーリングルームからは「元安を見越したドル買いは姿を消した」と。
 1月には6・9557元まで元安が進み、安値からの上昇率は2%を超えた。
 中国人民銀行(中央銀行)が15年8月に元を切り下げて以降、最大規模の反発だ。
 人民銀が5月26日に発表した基準値の設定方法見直しが引き続き元買い要因になっている。

 人民銀は現在、前日終値をべースに基準値を設定しているが、今後は他の要素を組み込むことで相場変動を抑制。
 ただ、設定方法の細目は明らかにせず、人民銀の裁量が一段と強まるとの見方が多い。
 
 価格形成を市場に任せ国際通貨を目指す従来の方針から後退するが、「元安は許さないとの人民銀の決意の表れ」として元を買う動きが強まった。
 香港市場での元安けん制も効果を上げている。
 1日はオフショア人民元の香港銀行間取引金利翌日物が2日連続で急上昇し、42・8%と1月以来の高水準になった。
 中国の国有銀行による大量の元買いで資金需給が逼迫し、金利が上がりやすい地合いが続いている。

 国有銀の動きの背後に人民銀の意図を感じ取る市場参加者は少なくない。
 短期金利が上昇して元の調達コストが上がると、ヘッジファンドなど海外投機筋は元の売り持ち高を膨らませるのが難しくなるためだ。

 中国がこの時期に相次いで元安抑制策に踏み切ったのは、1314日に控える米連邦公開市場委員会(FOMC)に先手を打つ意味合いが強い。
 FOMCで追加利上げが決まれば米中の金利差が縮小し、元売りが再燃しかねない。

 中国は16年末にかけ資本規制を繰り返し強化したが、元安や資金の流出圧力は依然くすぶる。
 事前に手立てを尽くし、「元は過小評価」と主張するトランプ米大統領の批判を抑える狙いもある。
 ただ、市場参加者の多くは人民銀の意図に理解を示しつつ、元の価格形成に裁量を持ち込む今回の仕組みには厳しい評価だ。

 ある大手銀行は「予測が難しければ取引は広がりにくい」と話す。
 「元は少しずつ市場を重視する方向に前進してきたが、今回の措置で国際通貨の道のりは遠くなった」 (投資銀行)との指摘もあった。

補足、感想など

 一国の恣意的な意志・思惑で、元安やら、元高やらに振れてたまるか---ということだろう。
 そんな通貨が、国際的に通用する通貨となる訳がない---といっているということか。
 危なくてたまらない—ということだろうな。

 --ここから--
 5月25日、国際銀行間金融通信協会(SWIFT)によると、4月に貿易金融で利用された通貨の取引量において、中国人民元は7位に後退した。

 国際銀行間金融通信協会(SWIFT)によると、4月に貿易金融で利用された通貨の取引量において、中国人民元は7位に後退した。シェアは1.60%だった。

 同社が23日にウェブサイトに掲載した資料によると、1位は米ドルで42.1%、2位はユーロで31.1%だった。
 人民元の比率は最高で9%に達していたが、2014年以降低下している。
 
 --ここまで--

 このあたりを韓国の新聞で扱っていた。ご紹介したい。

 --ここから--

 昨年10月、中国の人民元が国際通貨基金(IMF)が認める国際準備通貨の一つに選ばれた。
 人民元はドル、ユーロ、日本円、英ポンドと共にIMFの特別引出権(SDR)の構成通貨に含まれ、肩を並べた。
 中国人民銀行の周小川総裁が2009年3月に「SDRをドルに代わる基軸通貨として活用しよう」と主張したことをきっかけに始まった「人民元の崛起」への道のりは1次目標が達成された。

 中国は人民元をSDRに含めるという関門をクリアした上で、国際的地位を高め、世界の基軸通貨に押し上げるという野心を抱いている。
 人民銀の通貨政策委員だった陳教授は2013年に「30年以内に人民元が重要な基軸通貨として、ドルに取って代わるだろう」と予言。
 しかし、それから7カ月、成績表は見劣りする。
 中国の貿易決済に占める人民元建ての割合は今年13月時点で14%にとどまる。

 中国政府が企業に圧力をかけ、2011年に6%だった同割合を15年に27%まで引き上げたが、再び低下した。国際決済市場で使用される人民元の割合も15年の2.8%から今年3月には1.8%に低下。
 国際決済市場における人民元の順位は15年に4位に浮上したが、現在はドル、ユーロ、英ポンド、日本円、カナダドルに次ぐ6位に転落。

 中国の人民元はなぜSDR組み入れという目標は達成したが、基軸通貨へとはばたけないのか。  人民元が国際的に認められるためには、3つの条件を満たさなければならない。

 まず基軸通貨であるドルに対し安定的な価値を維持しなければならない。
 そうなることで初めて人々がドルの代わりに人民元を使うようになる。
 しかし、中国政府は15年から規制を緩和し、人民元を切り下げた。
 中国にとっては輸出企業を支援する狙いがあったが、外国の投資家や企業には信頼できない通貨当局という印象を与えた。

 第二に人民元の使い勝手が良くなくてはならない。
 外国人が人民元を持っていても中国の株式・債券市場への参入障壁が高く、使い道がない。
 現状では中国企業の要求で無理に人民元を受け取る外国企業が少なくない。

 第三に中国との貿易を拡大した結果、報復を受けるリスクがあってはならない。
 中国は最近韓国へTHAAD配備をめぐり、実際には韓国に報復を行うという態度を見せた。
 全世界がそんな中国を見て、人民元を使用するリスクを再認識した。

 中国が人民元を基軸通貨化するためには、経済規模だけでは不足だ。
 貿易相手国に対する礼儀をわきまえ、人民元の魅力を高めるために努力することが先決だ。
 自由貿易信奉者のようなふりをして、政府主導で無理やり進める人民元の崛起は世界市場で失敗するほかない。

 --ここまで--

 まぁ、正論だろうなぁ。
 それだけではない、人民元は、大暴落のリスクがあるのだ。

 --ここから--
 2017/03/28()
 中国経済は無数の爆弾を抱えている。リーマン・ショックを越える超弩級のバブル崩壊が射程に入ってきた。
 異様な住宅投資、不動産バブルの破裂、地方政府の債務不履行、企業倒産が続き、鉄鋼や石炭、レアアースなどの企業城下町では数万人規模の暴動が起きている。
 軍人30万人削減が発表されて以来、旧軍人の抗議デモが北京のど真ん中で起きた。

 野放図な鉄鋼、アルミ、セメント、建材、板ガラスなどの過剰生産と在庫は経営を圧迫するが、国有企業の効率的な再編は遅れに遅れている。
 債務不履行を避け、不動産バブルの炸裂を回避するために、過去2年間、中国当局が採用してきた政策は、西側資本主義では考えられない無謀さを伴った。

 「株式市場への介入」「『株を売るな』という命令」「空売りをしたら手入れをする」…。
 そのうえで、巨額資金を証券会社にブチ込んで株価維持政策を展開した。
 株は人為的な操作で維持されている。

 外貨準備を減らさないために、資本規制という禁じ手を用いる一方で、外貨交換は年間5万ドル(約560万円)以内に制限した。
 そのうえ、「銀聯カード」の新規発行停止。500万ドル(約5億6270万円)以上の海外送金を許可制として事実上禁止し、海外旅行に出ようと銀行に両替に行くと、「ドルはありません」と言われる。

 日本企業も、中国からの利益送金が来なくなって悲鳴を挙げている。
 一方、当局に寄せられた新規マンション建設の申請は、合計34億人分と発表された。
 中国の人口は14億人だから20億人分の空部屋をつくるという計画だ。

 住宅への異常な投資が過去の中国GDP(国内総生産)を成長させてきたが、昨年師走の「経済工作会議」で習近平国家主席が、次の注意をしたのだ。「住宅とは人間が住むものである」と。
 究極的に中国の債務は30兆ドル(約3376兆円)とされ、銀行の不良債権問題が浮上する。
 人民元の大下落は時間の問題である。

 「上に政策あれば、下に対策あり」というのが中国人の特性だから、庶民が何をしているかをみれば次が読める。
 人民元暴落を見越して、昨年までは海外の不動産「爆買い」を続け、外貨が規制されると人民元で購入できるトヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」や、スイスの高級腕時計「ロレックス」、仮想通貨の一種「ビットコイン」、「金塊」買いに狂奔している。
 大混乱は必至である。

 --ここまで--

 人民元のリスクの高さを考えると、冒頭の記事もこれから発生するであろう「混乱の端緒」ではないのかなぁ。