▲いや、福島原発の事故について、フランス・アレバのceo がしゃべっていることだ。
「事故を避け得た」--か。
技術者の端くれだった筆者には、首を傾げる。
避け得たかもしれない--。
でも、微妙だな。
まず、技術者として責任逃れをするつもりはない—という前提で気がつく点をのべたい。
あ、100パーセント壊れない機械、設備というものは存在しない。
い、絶対に故障しない設備というものも存在しない。
う、同様に、事故を起こさない原発というものも存在しない。
だから。
事故を起こさないために、そういう信頼性を100パーセントに高めるために、様々な工夫・努力をしている—ということだ。
絶対に事故を起こしてはならないという点では類似した、宇宙船の打ち上げがある。
それでも、数十回に一度ぐらいの事故がある。
福島の事故はあれに似ている。
福島原発の事故の核心は、原発の容器内の冷却装置の電源がすべて無くなった—という点にあった。
M9.0という1000年に一度くらいの規模の地震が発生して、津波がおそってきた。
最初の津波の襲来で、送電線が切られた。
送電線が切られた場合のバックアップ装置が二つあった。
一つが、ディーゼルエンジンの緊急発電装置であったが、地上に軽油タンクを置いてあったため、津波により押し流され、だめになった。
二つ目が、移動式の電源車であったが、ソケットの形があわなくて、電気を送れなかった--。
で。
容器内の温度が上昇し、爆発した--。
以上の経緯を読んで、アレバのceo はどこをどうすれば、事故が防げたと指摘しているのだろうか。
以下、新聞から抜粋。
東京電力福島第1原発事故直後の汚染水処理に当たった原子力世界最大手フランス・アレバの元最高経営責任者(CEO)アンヌ・ロベルジョン氏(55)が「日本には危機管理の訓練が欠けていた」と述べ、日本政府や東電が十分な対策を取っていれば、事故は避けることができたとの認識を示した。
2011年6月にCEOを退任して、第1原発事故の対応をめぐり、日本メディアの取材に応じたのは初めて。
ロベルジョン氏は「日本は当初、自分たちだけで事故を管理するというやり方を選んだ」と指摘し、日本側の対応に疑問を呈した。
▲補足、感想など
十分な対策をとっていれば防げた—か。
冒頭でふれた。
対策として。
送電線が断ち切られる—といのは、想定外としても、まぁ、やむをえまい。
問題は、送電線が切られた場合のバックアップだろうなぁ。
緊急用発電装置がディーゼル発電機というのはよくある。
問題は、燃料である軽油タンクを流されたことだ。
設計者は、アメリカの業者だったかな。
軽油タンクを屋外におく—ということを指定されて、津波など想定しない--とか回答していたと記憶する。
確かに、軽油タンクを埋設するという方法をとれば防げたかもしれない。
次に、移動式の電源車のソケットの形が合わないってなんだ?
そもそも、電源車の意味をもっていないではないか--。
その通りだ。
まぁ、電源車もディーゼルエンジンであろうから、軽油がなければいずれは停止したろうが--。
こういう想定外のことが発生したとき、弱点が弱点として初めて露呈する。
タンクが地上に設置してある—ということが、弱点として認識できるか?
移動式の電源車のソケットの形を点検するか?
日常的な点検では、いかな技術者であっても、見過ごしてしまうことなのだ。
こういう事故があった初めて「弱点」として認識する—そういう事項なのだ。
冒頭でふれた。
技術者として責任逃れをするつもりはない—と。
そういう視点から、みて、このアレバのceo
の発言は、はったりぽい。
日本人をサル扱いする白人特有のはったりをこめた上から目線のものいいだと思える。